ろくでなしマイヒーロー外伝-真紅の夜-



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──法で裁けない悪党、お前ならどう裁く?連続無差別殺人事件を追う、捜査一課の石塚真琴、未だ顔もわからぬ犯人は、現場に血文字の✕マークを残していくという…果たして、犯人の正体とは……真実を握っている者は、この中にいる




演者:4人

比率
♂2:♀2

上演時間:1時間





登場人物

石塚 真琴(いしづか まこと) ♂(29歳)
警視庁捜査一課に所属の刑事。
飄々とした、掴めない性格。
連続無差別殺人犯に家族を殺される

橘 竜胆(たちばな リンドウ) ♂(25歳)
警視庁捜査一課に所属の新米刑事
優秀だが、明るいお調子者
過去に自殺未遂で入院していた経歴あり
※橘は、瀬名京介も兼ね役でお願いします

鈴木 美緒(すずき みお)♀ (25歳)
警視庁捜査一課に所属の新米刑事
クールな性格で、橘の事をライバル視してる
5年前、妹を強姦事件で亡くす

中村 葵(なかむら あおい)♀(28歳)
鑑識課に所属、石塚とは同期
美人で有名、クールビューティ
犯罪者の父親を持つ


※←被りセリフです、被せ気味でお願い致します




役表
石塚 真琴:
橘 竜胆:
鈴木 美緒:
中村 葵:








セリフ






石塚(M):何が正義で、何が悪か…それを決めるのは己自身…どんなにろくでなしのヒーローになったとしても、俺は、俺の正義をつらぬく……なぁ、もし、法で裁けない悪党がいるとしたら、お前なら、どうする…?






──3年前…警視庁捜査一課、デスクでだらけている橘






竜胆:あーあ、捜査一課にいるってのに…なぁんか暇っすねぇ〜

美緒:何言ってんの、それが1番でしょ…殺人も放火も…何も起きない方がいい

竜胆:でもさ〜、こうも暇だとな〜んか仕事してる気がしないと言うかぁ〜…美緒もそう思わねぇ?

美緒:思わない、口動かす前にデスクの資料片付けたら?それと、呼び捨てにしないで

竜胆:…さすが、エリートの美緒さんですネ、真面目だなぁ

美緒:悪い?

竜胆:別に悪くはねぇけどさぁ…てか、エリートって言われて否定しないのな、お前

美緒:は?どういう意味?

竜胆:…冗談も通じないような相棒と一緒で毎日楽しいですって言いたいの

美緒:そう、良かったわね

竜胆:…黙ってりゃ美人なのになぁ(ボソッ)

美緒:聞こえてるわよ橘、あんたのその減らず口、開けなくしてあげましょうか?

竜胆:おー、おっかねぇ!

石塚:こ〜ら橘、その辺にしとけよ?






──いつの間にか、石塚が背後にいる






竜胆:んげ!石塚さん!?いつの間に…

石塚:さっきからずっと居たぞ?

美緒:…本当に、神出鬼没ですよね、石塚さん…存在感が無いわけじゃないのに…

竜胆:ドラえもんのひみつ道具でも使ってるんですか?

石塚:そんな便利道具があったら自分じゃなくて事件解決のために使うっての

美緒:なんだかんだで真面目ですよね、石塚さんも…よくわからない人だけど

石塚:鈴木…褒めてんのか、けなしてんのか、どっちかにしろ

美緒:あら、褒めてますよ?これでも

石塚:…まあいい…ってか鈴木、お前首どうした?

美緒:え?

石塚:いや、絆創膏が見えたからさ

美緒:あぁ…ちょっと、色々あって…

石塚:ふーん?まあ、気をつけろよ、じゃ、俺は今日は帰るから!

竜胆:んえ?もう帰るんすか?珍しいっすね

石塚:あぁ、今抱えてる連続殺人事件のせいで5日も家に帰れてねぇからな、今日くらいは娘に顔見せに行かねぇと

美緒:そう言えば娘さん、今日お誕生日なんですよね

石塚:そうなんだよ!今日で6歳だ!もう可愛いのなんのってさ!あ、見るか?昨日の朝に送られてきた写真!

竜胆:でた、石塚さんの娘自慢…ほんと親バカなんだから

石塚:橘ぁ…なんか言ったかぁ?

竜胆:い、いえ〜、なんでもぉ〜?

美緒:そう言えば…例の連続無差別殺人事件…まだ犯人の目星もついてないんですよね…?

石塚:…あぁ、現場に訳の分からないマークを残し、完璧に証拠隠滅して逃走…ほんと、タチの悪い犯人だな

竜胆:あの、訳の分からないマーク?ってなんの意味があるんでしょうね…?

石塚:さぁ?…✕マーク…だったか?俺にもさっぱりだ

美緒:ただ一つだけわかるのは、頭のおかしい殺人犯ってことくらい、ですね

石塚:あぁ、そうだな…おっと!もうこんな時間か!んじゃ、残りの資料片付け、任せた!お疲れちゃん!

竜胆:あ、ちょっと、石塚さぁぁぁぁぁん!…行っちゃったよ…

美緒:…あの人も、逃げ足だけは早いわね…

竜胆:…なぁ、美緒…連続殺人犯ってさ、一体どんなやつなんだろうな…

美緒:え?

竜胆:だって、あんだけド派手に人を殺しておいてさ、未だに捕まってねぇし…それに、ターゲットはみんな、警官の家族って話じゃん?…警察に恨みでもあんのかなぁって思ってさ

美緒:…その可能性もあるわね…けど、どんなやつだろうが知ったこっちゃないわ、理由があろうがなかろうが犯罪は犯罪よ、その連続殺人犯は必ず私たちの手で捕まえて、事件を終わらせる…それだけよ

竜胆:(口笛)♪、美緒ちゃんかっこいい〜♪

美緒:…いいから仕事して

竜胆:へいへーい、すんませんしたぁ

美緒:…ところで、その手のひら、どうしたの?

竜胆:へ?

美緒:その…包帯巻いてるし、気になったから

竜胆:ああ、これ?いやぁ昨日近所のおばちゃんとこの猫ちゃんが逃げちゃってさ、一緒になって探してやっと捕まえようとしたら引っかかれちゃって!ドジだよなぁ、ははは!

美緒:はぁ…ほんと、一応刑事なんだからもっとしっかりしてよね…

竜胆:安心してください美緒捜査官どの!おばちゃんのとこの猫ちゃんは無事に確保しましたァ!

美緒:猫の確保もいいけど、こっちの仕事もしなさいよね、ダメ捜査官様

竜胆:うう…ひでえ…





───石塚低…家のあかりがひとつもついてない





石塚:ケーキよし!誕生日プレゼントよし!麗奈(レナ)のやつ、きっと喜ぶぞ……あれ?部屋の明かりがついてない?おかしいな…今日早く帰るからって連絡したはずなのに…おーい、ただいまぁ……あ?鍵が…空いてる…?







──石塚、ドアを開ける、嫌な予感がする…







石塚:…美咲?…麗奈(れな)…?…おーい…なんだよ、誰もいないのかぁ?……ただいま………っ!?







──石塚、リビングに近づくと、鉄のような匂いに気がつく







石塚:っ…美咲!!麗奈!!







──リビングのドアを勢いよく開ける石塚…暗闇の中見えたのは、荒れた現場…そして、血まみれのリビングに死体…石塚の嫁、美咲と、娘の麗奈だった…壁には、✕マークが血文字で書かれていた…






石塚:!!この、✕マークは……まさか…そんな…あ……あああ………うそ…うそだ…嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だぁぁぁぁぁ!!!わあああああああああああ!!!!







──頭を抱え崩れ落ちる石塚、後には、石塚の声だけが響いた……






美緒:…ひどい…なんで、こんなことに







──数時間後、連絡の入った石塚班が駆けつける…ソファーに座り項垂れる石塚







竜胆:…石塚さん…その…俺…なんて言ったらいいか…

石塚:……大丈夫だ、橘…

竜胆:大丈夫って、石塚さん…大丈夫なわけないじゃないですか…!家族が殺されたんですよ!!なんで…なんでそんな簡単に大丈夫なんて言えるんですか!!!

美緒:ちょ、橘!

石塚:…橘

竜胆:石塚さん…犯人、絶対捕まえましょう…俺たちの手で、絶対…

石塚:…あぁ…わかってる

美緒:…はぁ、橘、ちょっと来て

竜胆:?

美緒:あんたね、少しは石塚さんのことも考えて物言いなさい!







──竜胆のほっぺをつねる美緒






竜胆:いでででで!ひゃめりょって!(←やめろって!)

美緒:大事な人を失う気持ちがどんなに辛いものか、あんた分かってるの?!

竜胆:うぐっ…ふぁかったからはにゃせって!(←分かったから離せって)

美緒:……






──美緒、ほっぺをはなす






竜胆:っ痛ぇ…どうしたんだよ美緒いきなり…

美緒:…なんでもないわ、ごめんなさい

竜胆:うお…美緒がいつもより素直だ…!今日は雨でも降んのか!?

美緒:どうやら本当に口を縫い付けて欲しいみたいね…

竜胆:そ、それだけは勘弁…!!

美緒:…とにかく、石塚さんには落ち着く時間が必要よ…もう少し時間を置いてから話をしましょ…

竜胆:…あぁ…







─── 一方、石塚は…






石塚:…なんで……美咲…

中村:あら、ずーいぶんと落ち込んじゃってるみたいじゃない?

石塚:…葵…






──石塚が顔を上げると、同期で鑑識の中村葵が、目の前に立っていた






中村:一応言っておくけど、あんたのその座ってるところも殺人現場なんだから、たとえ家主でも検証が終わってない場合はホントは座っちゃダメなのよ?

石塚:……

中村:それと、2人の死因だけど、奥さんはナイフで数箇所刺されたことによる失血死、娘さんは首をおられて即死、死亡推定時刻は昨日の夜、だいたい22時〜23時ってことかしら

石塚:…昨日……そうか…俺がもっと早く帰れていたら…こんな事には……

中村:…ねえ、キツイ言い方をするようで悪いんだけど、あんたも一応、刑事でしょう?ならいつまでも落ち込んでるんじゃなくて、自分の仕事をしたらどうなの?

石塚:…葵…

中村:それに、あんたがずっとその調子だと、みんなもやりづらいでしょ…気持ちは…わかるって言ったら嘘になる…けど、家族を失う事は、誰よりも分かってる…だからこそ、気をしっかり持って…今の班は、貴方を必要としてるわ

石塚:…あぁ、そうだな…ありがとう、葵

中村:お礼はいいわよ…こんな状況ですもの…そうなるのも無理はないわ…ま、辛くなったら話くらい聞いてあげるからさ、ほら、今は私の胸で泣けばいい

石塚:そ、それは遠慮するかな…(汗)

中村:何よ、せっかく貸してあげようと思ったのに

石塚:あはは…まあそれは今度の楽しみに取っておくよ…さぁて気を取り直して…この事件の犯人…必ず捕まえる…!

中村:ふふ、いつもの石塚真琴のご帰還ね……真琴…これからが地獄よ…あんたにとっても、ね… (←独り言)






───数日後…






竜胆:…あああもう…!!

美緒:うるさいわよ、橘

竜胆:だってよォ…あれから連続殺人犯の音沙汰無し…石塚さんの仇も討てねえし…なんか悔しいんだよ…

美緒:…気持ちは分かるけど、急いては事を仕損じる、よ…しっぽを掴むまで油断出来ないわ

竜胆:まあ…そうだけどよォ…石塚さんも、あれから顔見せてないし

美緒:…奥さんと娘さんの葬儀もあるから、色々大変なんでしょ…

竜胆:早く石塚さんの、「仕事しろ仕事!」が聞きてぇ…

美緒:ふーん、いつもならうざがってるくせに

竜胆:なけりゃないで寂しいんですぅ〜

中村:失礼〜、あら、お二人さんだけ?お暇してるの?

美緒:中村さん…暇そうに見えますか?

中村:まあ、こんな膨大な数の資料に囲まれてて暇そうには見えないわね

竜胆:中村さぁん!あー、目の保養〜

中村:うふふ、ふざけないの竜胆くん、ちゃんと仕事しなさいね?

竜胆:あぁん、中村さんまで石塚さんみたいなこと言わないで下さいよォ〜

美緒:あら、さっきまで仕事しろって言われたいって言ったのはどこの誰だったかしら?

竜胆:だぁから!俺はァ!石塚さんに言われたいんだァ!

石塚:誰に何を言われたいって?橘?

竜胆:わぁあ!?

美緒:え!?

中村:あら

石塚:よ!待たせたなみんな…色々面倒かけた

美緒:石塚さん…おかえりなさい

竜胆:石塚さん!待ってましたァ!

中村:あら、早かったのね、おかえり真琴

石塚:ああ…いつまでも家に居たって仕方ねぇからな…それに、脳天気な橘が仕事サボってないか、ちゃんと見張らないとなぁ?

竜胆:さ、サボってないッスよ!俺は俺なりにちゃんと仕事を…

美緒:そうね、監督は必要ね、特に「橘」は

竜胆:み、美緒まで…なんだよ!もう!俺だってな!ここ数日なんもしてなかったわけじゃないんだぞ!?

中村:あら、そうなの?私は鑑識課の人間だし見てないから分からないけど、なら、その仕事の成果をここで見せて欲しいわね?

竜胆:資料整理頑張りまぁす!!

美緒:やっぱり何もしてないんじゃないの!逃げてんじゃないわよ!

石塚:ははは!やっぱり、お前らと仕事してる時が1番楽しいわ…あの家にいると、息が詰まる…

美緒:…石塚さん…

石塚:よし!気を取り直して、現場復帰しますかあ!

中村:そうね…さぁさぁ、みんなの頼れる上司、石塚真琴様が戻ってきたところで、あなたたちに重要なお知らせよ

竜胆:お知らせ?

中村:ええ、朗報、とでも言えばいいかしら?

石塚:…鑑識課のお前が直々に来たってことは、何か犯人に繋がるものが出たのか?

美緒:!まさか…あれだけ証拠という証拠を残さなかったやつが?

中村:それが、今回は見逃してたみたいね、余程焦っていたのか、たまたま忘れたのか分からないけど…被害者……美咲さんの爪にね、わずかだけど犯人のものと思われる皮膚組織が出たわ…さすが美咲さん、元監察医だけはあるわ…ちゃんと、証拠を残してくれた

石塚:!!

竜胆:皮膚組織…

美緒:じゃあ、その皮膚組織から採取されたDNAを鑑定すれば、犯人の特定もできる…!

中村:そーゆー事、まあ、犯人が前科者で、データベースに引っかかれば、の話だけどね…まだちゃんとDNAはとれてないから、調べるのはこれからよ

石塚:そうか…分かった、ありがとう、また何か出たら教えてくれ

中村:ふふ、お易い御用よ、それまでは刑事らしく、現場百辺…頑張ってね、みんな?

美緒:はい!

竜胆:ねえ、中村さぁん、頑張ったら、なにかご褒美くれますか?

美緒:ちょ!?何言ってんの橘!!

中村:ふふふ、じゃあ頑張ったら、ね?

美緒:中村さんまで…もう

竜胆:え!!マジっすか!よっし!俺がんばりまっす!!

石塚:橘〜?ご褒美なくたってちゃんと仕事しろよ?し・ご・と?

竜胆:わ、分かってますって〜石塚さーん

石塚:ははは!よし!んじゃ、もう一度事件を洗い直すか!美緒、一連の事件の資料並べてくれ

美緒:はい!

中村:じゃあ私はラボに戻るから、また何か出たら報告するわね

石塚:頼む






─────資料を並べる美緒と竜胆






美緒:…これが、この連続無差別殺人事件の資料全部です

石塚:…共通点はやはり、警察関係者の家族と、現場に残される✕マークだけ…か

竜胆:それも被害者の全員が捜査一課の人間の家族…犯人は警察に恨みを持つ人間…って事っすかね?

石塚:…まだわからん、他にも共通点があるかもしれん…現場行って調べるぞ

竜胆:了解っす!俺はどこまでも石塚さんについて行きます!

石塚:ははは!なんだそりゃ

竜胆:いや、俺は真面目ですよ!石塚さんを見て、俺も石塚さんみたいになりたいって思ったんす!ほんとですよ!?

石塚:ハイハイ、分かったっての

竜胆:信じてないっすね!?

美緒:とにかく、私たちも動きましょ…まあけど、さっき中村さんが言ってた皮膚組織のDNAが出れば、こっちのものですよ

石塚:そうだな…それまでに、被害者が増えなければいいんだが…

美緒:今のところ犯人はアクションを起こしてません…このまま大人しくしててもいずれやつのしっぽは出る…必ず罪を償って貰わなきゃ困りますからね…石塚さんの家族のためにも

石塚:…あぁ、そうだな…家族の仇は、必ずとってみせる…必ずだ

竜胆:……





──── 一方、鑑識課





中村:さぁ、可愛い可愛いDNAちゃん、あなたは一体誰のものかしら?





────中村、パソコンでDNAを調べる





中村:…警察関係者の家族を狙った非道な犯行、現場に残される血文字の✕マーク…今までよくも私たち鑑識の手を逃れてきてくれたわね…けど、今度こそ捕まえるわよ……私の好きだった人の家族を奪ったその罪…生きて償って貰うわ





───その時、パソコンがピコンと鳴る






中村:え?もうヒット?やけに早いわね…さぁ、犯人は一体どこの誰かし……え…これって………まさか…そんな!?






───その頃、現場を訪れている美緒と竜胆






美緒:2件目の殺害現場…ここも、これと言って証拠とかは無いわね…近所の方の目撃情報もなし…か…橘、次の現場、行くわよ

竜胆:ええ〜、もう夜の21時ですよ美緒さぁん、そろそろ石塚さんと合流して、お家に帰りましょーよー

美緒:あんたは子供か……もう…

竜胆:…なあ、美緒……犯人、絶対に捕まえような

美緒:…橘?

竜胆:…俺たちの上司の大切な家族を奪ったんだ、絶対に許さない…だから、俺たちの手で必ず捕まえようぜ

美緒:そうね…けど石塚さんだけじゃないわ…ほかの警察関係者の家族も殺されてる…やつをこのまま野放しには出来ない…許さないわ、家族を奪うなんて…たとえ法が許したとしても、私は絶対に、許さない

竜胆:…あぁ…そうだな…よしっと!

美緒:橘?どこに行くの?

竜胆:ちょっとトイレー、あ、ついでに飲み物買ってくるわ!

美緒:え!?ちょっと!!…行っちゃった…はぁ……家族、か……人を殴ったって殺したって、死んでしまった人間は、もう戻ってこないのにね…






─── 一方、石塚低






石塚:…いつ見ても気味わりいなぁ、この✕マーク……この罰は、二度と消えはしない…そういう事か…?この犯人の言いたいことは、一体なんだ…俺に何を伝えたい…?何を教えたいんだ…?






───その時、電話がなる






石塚:はい、石塚

中村:真琴!!

石塚:っ!?ビックリしたあ、なんだよ、葵、電話口でそんな大声出して…鼓膜と心臓に悪いんだが

中村:ご、ごめんなさい…それより、今みんな一緒!?

石塚:は?いや、俺は単独行動で、鈴木と橘は別の現場に行ってるが…どうした?

中村:…!そう、そうなの…

石塚:なんだよ?

中村:真琴、よく聞いて、DNAの結果が出たわ

石塚:!!って事は犯人が分かったのか!?

中村:…ええ…ヒットしたわ…けど…

石塚:…葵?

中村:…いい、真琴、落ち着いてよく聞いてちょうだい…DNAは嘘をつかない、そこには必ず真実がある…私はこれから、あなたに真実を伝える…この結果がどんな結果であれ、受け入れる覚悟はある?

石塚:葵?何を言ってるんだ?

中村:っ…わかったら返事!

石塚:は、はい!!

中村:…この、一連の事件の真犯人…それは……

                         (間)

石塚:…!?そんな、まさか…アイツがそんな事……あぁ…すまん葵、一旦切る!!






───石塚、電話をかける、その相手は……






美緒:はい、こちら鈴木美緒

石塚:美緒!!

美緒:わっ!?い、石塚さん!?そんな大声出さなくても、私、ちゃんと聞こえてます(汗)

石塚:美緒!!竜胆は一緒か!?

美緒:た、橘ならさっきコンビニに出かけていきましたよ?そう言えばあいつ、トイレ行ったっきり戻ってこないな…

石塚:いつだ!?

美緒:え?!あ、じ、10分前くらいですけど…それがどうかしたんですか?

石塚:…美緒、お前は一旦署に戻って、中村のとこに行ってこい

美緒:中村さんの?…あ!もしかしてDNAの鑑定結果が出たんですね…分かりました!

石塚:そうだ……いいか、俺が連絡するまで、署で待機だ、分かったな?

美緒:…了解です!橘と合流次第、署に向かいます

石塚:…いや、お前一人でだ

美緒:え、でも※

石塚:※橘は俺が探してくる!…お前は1人で先に戻れ

美緒:わ、分かりました、先に戻ります





──電話を切る美緒





美緒:…どういう事かしら…?石塚さん、すごく慌ててたみたいだけど……それにしても、橘のやつ…ほんと遅すぎ!もう…戻ってきたらデコピンだからな






───石塚、続いて竜胆にかける






石塚:頼む、出てくれ…






───だが、一向に出ない竜胆






石塚:っクソ!!なんで電話出ねえんだよ!!…出てくれよ、竜胆……他に…あいつが行きそうなところ……まさか!






───人気のない廃ビルの中、竜胆は1人でいる






竜胆:…ここが、俺の1歩目だったんだ…






───走る石塚、廃ビルに到着する






石塚:はぁ、はぁ…見つけた…

竜胆:…遅かったっすね、石塚さん

石塚:はぁ…はぁ…やっぱり、ここにいると思ったよ…橘…

竜胆:ここ、俺たちが初めて一緒に犯人を逮捕した場所、ですもんね…石塚さん…あんたなら必ずここに来てくれるって、信じてました

石塚:橘…お前…

竜胆:…どしたんすか?そんな声出して

石塚:お前が……

竜胆:…もう、DNAの鑑定結果は出てんでしょ?だから、ここに…俺に会いに来たんすよね?石塚さん

石塚:っ…ほんとうに、お前が…この一連の事件の…犯人なのか……?

竜胆:…今更、何言ったって、もうわかってるんでしょ、石塚さん…俺の口から言わせないでくださいよ

石塚:!!…何故だ…なぜ、こんな事……答えろ!!竜胆!!

竜胆:…初めて俺の事、下の名前で呼んでくれたっすね

石塚:っ!!

竜胆:……なぜ、こんな事したのか、か……俺、昔からダメな人間なんすよ、石塚さん…仕事も出来ない、人間関係も上手くいかない、ほんとうにゴミクズみたいなやつなんです

石塚:そんな…そんな事※

竜胆:※ないって言えるんすか?ほんとうに?あんたの家族、俺は殺してんだぞ?

石塚:っ!!

竜胆:…俺、昔、いじめられてたんすよ…あげく、両親を早くに亡くして、親戚の家に引き取られて、そこでも邪魔者扱いされて…居場所なんかどこにもなくて…それで、もう死のうと思って、薬いっぱい飲んで……気づいたら病院でした…そんとき、一緒に居た警官に、言われたんす…生きてりゃ必ずいい事ある、だから、諦めんなって

石塚:……それ

竜胆:そんで、俺、誰かの役に立ちたくて、刑事になろうって決めたんす…あん時、声をかけてくれた警官に憧れて……あんたに憧れて、刑事になろうって決めたんす、あんたみたいな、ヒーローになりたくて

石塚:なら……ならなぜ、人殺しなんか…

竜胆:さぁ?…まぁ、俺がただのサイコパスなだけだったのかも知れません……初めに殺した家族は、昔、俺をいじめていたやつの家族でした…まさか、あんなろくでなしまで警官になってるなんて知らなくて……こっそり、アイツんちに行ったんです…そしたら、奥さんもそんときの同級生で…昔のこと、散々言われました…今も昔もゴミクズだって、変わらないって、子供の前で言われて、笑われて……気づいた時には血の海の中に立ってたんす…でも不思議と後悔はなくて……あの時の人を殺す快楽が忘れられませんでした…あの✕マークはダメ人間の俺がここに来たって印で残しておいたんです

石塚:…それで、次々と犯行を重ねたってのか…

竜胆:…ほんとは、初めの1回で辞めるつもりでした…けど、止まらなくなって……ムカついたやつの、泣き崩れる顔が見たくなって…そしたら…歯止めが効きませんでした

石塚:だからって…なんで……なんで俺の家族まで…

竜胆:…ただ、見たくなったんですよ、俺を救ったヒーローが、絶望に泣き崩れるところ…やっぱり俺、ゴミクズみたいです…刑事よりサイコパスの才能の方があるみたいっすわ

石塚:っ…竜胆…貴様ァァ!!!

竜胆:…なあ石塚さん、もし、法で裁けない悪党がいたとしたら、あんたならどうしますか?

石塚:…なんだと…?

竜胆:この世界には、金や権力を使って、法から裁きを逃れようとするやつが居るんですよ…俺たち刑事がどんなに頑張って捕まえても、次の日にはムショから出てたり、罪が軽くなったり…果ては未解決事件なんてのが出たり……こんな汚くて醜い世界、なくなればいいって思いませんか?

石塚:…たとえ、そういうやつが居たとしても、俺は諦めない、何度でも捕まえてみせる、そして、生きて罪を償わせる…醜い世界を作るのは、醜い心を持つやつだけだ!

竜胆:…甘いなぁ、やっぱ、石塚さんは…1度悪いことをしたやつはさ、病気みたいに同じこと繰り返すんだよ……俺みたいにな

石塚:そんなことはない!そんなやつばかりじゃない!!…お前だってそうだ、竜胆…お前はこんなことするやつじゃないだろ…ちゃんと生きて罪を償うんだ…

竜胆:本当に、そう思ってる?

石塚:…何?

竜胆:本当は心の底から殺したいって思ってるでしょ?俺の事……あんたの泣き崩れる顔が見たくて、あんたの家族を奪った、俺のこと…本当は殺したいだろ?

石塚:……

竜胆:ふっ、わかりやす…顔に書いてますよ、石塚サン?…言葉では綺麗事言ってるけど、人間みんな心の内じゃ何を考えてるか分かりゃしねぇ…あんたも例外じゃないな?

石塚:うるさい!!俺は刑事だ!!人は殺さない!!…それにお前は、俺にとって大切な部下だ…仲間だ!!…本当なら、自首して欲しいと願ってる、でも抵抗するのであれば※

竜胆:※自首?するわけねえだろ、んなもん

石塚:竜胆…!!

竜胆:残念ながら、あんたの期待には答えられない…俺は法にも、あんたにも抗う…どこまでも逃げ続ける…どうしたって捕まえられない…だったら残る方法はひとつだ……俺を殺すしかない

石塚:…!!

竜胆:…はは、どうしたんです?石塚さん、さっさと殺してくださいよ…これで、家族の仇が取れるんだぜ?

石塚:……

竜胆:ほら、その脇のホルダーに入ってる銃を、この脳天に向けて打つだけでいいんですよ?

石塚:…出来るかよ…そんなこと…

竜胆:まだそんな綺麗事言ってるのか?

石塚:…竜胆…なんでお前はそんなに歪んでるんだ……確かに、俺の言ってることは、お前には綺麗事に聞こえるかもしれない…けど、俺は知ってる…お前は、そんなことするやつじゃない…初めてここで一緒に犯人を逮捕した時…お前の目は正義感で溢れていた…あの時のお前の目を、俺は信じてる!だから!!

竜胆:ごちゃごちゃうるせえんだよ!!!

石塚:!?

竜胆:さっきから聞いてりゃくだらねぇ事ばっか言いやがって!!……もう、あの頃の俺はいないんだ…いないんだよ…石塚さん…どれだけ戻ろうとしても、俺はもう、戻れないとこまで来ちまった…それくらい、自分でも分かってる…もう無理なんだ……自分でも止められない…止めたくても、足が勝手に進んで、気づいたら人殺して…もうほとんど病気なんだよ…頼むから、俺の理性がまだあるうちに、殺してくれよ…殺せよ!!石塚真琴!!!

石塚:っ…竜胆…俺は…

竜胆:ほんと、どこまでも甘ちゃんで手のかかる刑事ですね、あんたは





───竜胆、拳銃をホルダーから出し、石塚に向ける





石塚:!!銃をしまえ、橘!!

竜胆:今更遅いんだよ、もう、何もかも

石塚:竜胆…

竜胆:最期に、もう一度聞きます、石塚さん…法で裁けない悪党、あんたならどうする?……俺なら、その場で殺します、それで、俺みたいな連続殺人犯や、犯罪が無くなるのであれば、俺は殺す…これが、俺の正義だ

石塚:……

竜胆:正義だ悪だと決めつけるのは、結局は己自身なんですよ、何が正義で何が悪か…そんなの本当はこの世にはないんです…自分の見たものが、信じたものが正義、それだけですよ……俺は俺の正義を貫く、例えそれがろくでもない歪んだ正義だとしても…あんたはどうです、石塚さん?あんたの正義は?

石塚:…俺も、同じだよ、竜胆…俺の正義も、ろくでもないもんだ…法で裁けない悪党…確かに、それで犯罪が減るなら、俺も、人を殺してるかもな

竜胆:そうですか…

石塚:けど、これだけは言える…俺は腐っても刑事だ、これは俺の正義、俺も、俺の信じたものを貫く…それだけだ…だから、銃をしまえ、竜胆…!俺はお前を殺したくないんだ…!大切な部下を、失いたくないんだ!!

竜胆:…さっきも言ったろ、石塚さん…もう何もかも遅いんだよ……あんたは俺にとって、本物のヒーローでした…






───銃を向けながら石塚の方に歩いていく竜胆、竜胆の目には涙がたまっている






石塚:!?

竜胆:石塚さん…ゴミクズでろくでなしの俺でも…一瞬でも、誰かのヒーローに、なれたんですかね?

石塚:っ…当たり前だろ!お前は、いつでも明るくて、優しくて、誰よりも事件と真っ直ぐに向き合って…チームの光だった!!

竜胆:光かぁ…でもさ、石塚さん…知ってます?光は、闇がないと映えないんですよ?

石塚:…闇?

竜胆:そうです、光と闇は表裏一体、けど、決して一緒になることは無い…俺の心は真っ暗闇だった、光はあんたの方だ…あんたがいたから、俺もあそこで、あのチームで輝けた、それだけです






───銃の安全バーを外す橘、石塚、銃を構える





石塚:!いい加減に銃をおろせ、竜胆!!

竜胆:嫌だよ、こうでもしなきゃ、あんたは打ってこないだろ?

石塚:お前…!!

竜胆:俺は、あんただから殺されたいんだ…もしここに来たのが美緒だったら…俺は自殺してた…あいつの手を、汚したくない

石塚:…!

竜胆:やっぱ俺、最低のダメ人間みたいっす、石塚さん…あんたを今ここで殺したい

石塚:竜胆…

竜胆:さて、石塚真琴、あんたは俺を裁けるかな…?

石塚:っ!!

竜胆:さよなら、俺の憧れた、ろくでなしのヒーローさん






────銃声が響く……倒れたのは、竜胆






竜胆:かはっ…

石塚:……お前はこれで満足かよ…橘…俺たちの心を振り回して、1人でなんでも抱え込んで…なのに……なんでお前、笑ってんだよ…そんな顔して、死んでんじゃねえよ……クソ…ちくしょう……ちくしょう!!!うあああああああああ!!!!



中村(M):その後、橘竜胆の部屋から、連続殺人事件の凶器と思われる刃物やロープなどが次々と発見され、事件は犯人死亡で決着がつき、捜査は打ち切り…彼の死体は警視庁によって送検された…一方の石塚真琴はと言うと…





───数日後






美緒:え!?未解決課に移動になった!?

石塚:あぁ

中村:急展開ね…でも、なんでまた…

石塚:…確かに橘は今回の連続殺人の犯人だった訳だが…一応、刑事でもあった…それに、もうこれ以上、仲間は失いたくないんだ…

美緒:石塚さん…

石塚:あと、まだ犯人の捕まってない事件が、解決していない事件がこの世にごまんとある…俺は少しでも、そういう未解決事件を減らしたいと思った、だから、俺自身が移動を希望した…それだけだ

美緒:…そうだったんですね…

中村:…なんにせよ、これからもうあなたと仕事できないって思うと、ちょっと寂しいわね

石塚:はは!まあ、たまに顔見せに来るさ!

美緒:…本当に、残念です…石塚さんとは、もっとたくさん一緒に仕事したかった……未解決課でも、頑張ってくださいね、石塚さん…所属は変わっても、私の上司は、石塚さんただ1人ですから

石塚:おう、ありがとな、鈴木…お前も…橘の件もあるが…これから先色んな事が待ち受けてると思う…腐らずに頑張れよ

美緒:えぇ、分かってます…石塚さんも、どうかそのままで

石塚:…あぁ……法で裁けない悪党…か…

中村:え?何か言った?

石塚:いんや、なんでもない!よし、そんじゃ俺はデスクの片付けでもしようかな〜っと!






──石塚、2人から離れる






中村:…なんか、寂しくなるわね…あの2人の笑い声も、バカ騒ぎも…もう聞けないのね

美緒:そうですね…一気に2人もいなくなってしまいました…1人は凶悪殺人犯として死に、もう1人は自分の信じた正義を貫いて…

中村:そうね…竜胆くんに関しては、とても残念だけど…真琴……石塚のことは、笑顔で見送ってやらないとね

美緒:…そう、ですね…

中村:美緒ちゃん、本当は竜胆くんのこと好きだったんじゃない?

美緒:な!?そ、そんな訳ないです!誰が!…誰が…あんな…大馬鹿者…

中村:…美緒ちゃんも、辛かったわよね…私は、あなた達2人はいいバディになると思ってたわ

美緒:ありがとうございます…もう、叶わない夢ですけどね…

中村:…竜胆くんにも、人には言えない何かがあったのね…

美緒:にも?

中村:私もあるのよ?人にはあんまり言えないこと…たぶん、生きてる人間はみんなそうなんじゃない?みんな心のどこかに闇を潜めていて、人知れず心の内に溜め込んでしまってる…竜胆くんはきっと、それが暴れだしちゃったのね…

美緒:知られたくない、心の闇…そうですね…私にも、あります…そう言うの…

中村:うん…彼の気持ちは分からなくもない…そういうのって、言ってくれればいいのに、相談してくれればいいのに、って言う人もいるし、その優しさって大事だと思う…けどね、誰かにそれを言ったところで、どうにもならない、過去は変えられない…自分の問題だから…なら、その過去と今の自分がどう向き合って、付き合っていくかで、色々変わると思うのよ…人は1人では何も出来ないから

美緒:…はい

中村:…竜胆くんは、過去の闇に呑まれちゃったのかもね…

美緒:…ほんと、どこまでも馬鹿なんだから…

中村:こーら、あんまり死んだ人を冒涜しないの!…でも、泣きたいなら、私の胸、貸してあげましょうか?

美緒:っ!だ、大丈夫です!(汗)

中村:ふふふ、まあなんにせよ、捜査一課の知り合いは美緒ちゃんだけになるわけだし、今後とも、よろしく頼むわね?

美緒:…はい!






───その数日後、石塚、移動の日


 



石塚:今日で捜査一課ともお別れか…寂しくなるな…そんじゃ、お世話になりました

美緒:こちらこそです、石塚さん、未解決課でも、頑張ってください!

中村:いつでもお茶飲みに来ていいからね?

石塚:おう、ありがとな、2人とも…んじゃ、頑張って来るわ



石塚(M):それから俺は未解決課で、色んな資料を漁りまくった…そこにある、膨大な量の資料、遺品、証拠品…毎日ではないが、送られてくる資料の数に圧倒されながら、俺は竜胆の言っていた言葉を思い出していた…法で裁けない悪党…金と権力を使って自分の罪を軽くさせ、犯罪を悪いことと思わず、繰り返している人間がこの世にはいる…ここにいると、あいつの言葉が重くのしかかってくる…俺たち刑事がやってる事って、一体なんだ…見せかけの正義で飾られたこの世界に、本当の正義はあるんだろうか…ほんと、どいつもこいつも、ろくでなしばかりだ……そして、未解決課に配属されてから2年が過ぎた時…俺はあいつに出会った…



瀬名:…今月から、未解決課でお世話になります…瀬名京介です…よろしく…



石塚(M):初めは随分と死んだ魚みたいな目をしたやつが入ってきたと思った…けど、周りの話し声が聞こえた…こいつは恋人を失ったのだと…信じていた同僚に裏切られたのだと……その時、俺は、そいつに、竜胆の面影を感じてしまった……だから



石塚:よ!新入りくん!なんだなんだ!随分元気ないじゃないのさ!もっと元気に行こうぜ!

瀬名:…なんすか?

石塚:うわ、冷たい反応だねぇ、ほら、もう少しフレンドリーに行こうじゃないか!な!?

瀬名:…別に…馴れ合いする気はないんで…

石塚:まあまあそう言わずに!これから一緒に仕事してくんだ、仲良くしようぜ!俺は石塚真琴!よろしくな、瀬名!



石塚(M):今度は俺が、こいつの光を灯す闇になる番だ…そう、思った……








終わり


九条 顕彰・台本置き場

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